15.3 「子グマ!子グマ!」
★「子グマ!子グマ!」
◉この曲を最初に聴いた時は正直ビックリしました。現代のバンドのサウンドをスピッツ流にアレンジしたらこんな感じなのではないかな、と。
あまり詳しくはないのですが、Aメロのギターのフレーズとかは「ゲスの極み乙女」っぽいかなとか思ったり。
◉この曲の雰囲気を決めてるのは、やはりドラムでしょう。Aメロでの弾みのあるスネア打ち、サビでの裏打ち、Cメロの合唱へのゆったりとしたリズム変化、全ての展開をドラムが作り出しています。
ベースも相変わらず低く唸り、ギターはお洒落な感じですね。イントロのギターと、ギターソロの後ろで高く細くなっているギターの音がアクセントがついてて好きです。今回のアルバム、個々の楽器の音作りと展開が本当に素晴らしい。
AメロはCzecho No Republicのタカハシマイさんがコーラスに参加。素直に「合ってるな」と思いました。この辺のセンスも現代っぽい。
◉曲名発表の時にまず一番話題になったのはこの曲でしょう!アラフィフのオジサンが「子グマ!子グマ!」とは何とも言えませんねw(マサムネ自身もそのダサさが良いと思ってるようですが)
はぐれたら 二度と会えない覚悟は
つらいけど 頭の片隅にいた
この辺でもう、「君」とは離別してしまったorそうなる運命なのかな、というイメージが湧きます。
半分こにした 白い熱い中華まん 頬張る顔が好き
「醒めない」、「みなと」とストレートな歌詞が続いたので、この言葉遊びを聴いて初めて安心しました。まぁこの後「ハチの針」というトンデモ曲が襲来するのですがw
頬張る顔が好き、ってのは可愛い表現だなと思いました。素直に「君」を可愛く思ってるんだなと分かります。
喜びの温度はまだ 心にあるから
君が駆け出す時 笑っていられそう
この辺で、「あぁやっぱり君とは離れ離れになってしまうんだな」という事が分かります。
「笑っていられそう」というフレーズは「笑っていられる」というフレーズと意味合いが全然違っています。
「僕」の、「ダメかもしれないけれど、無理してでも空元気でも笑っていたい」という、どうしようもない願いが顕になっているわけです。
トロフィーなど いらないからこっそり褒めて
それだけで あと90年は生きられる
この表現で、「僕」が如何に「君」の事が大好きで依存しているか分かります。
また、人間の平均寿命は男性が80歳前後で女性が87歳前後ですから、「あと90年は生きられる」という部分には、人間の生の限界を越えるほど「君」に認められる事が嬉しいという「僕」の一途さ、危うさが見て取れます。
「僕の分身」とはやっぱり「子グマ」の事なのかな?「子グマ」がやっぱり何の比喩なのかは気になるところです。
間違ったっていいのにほら こだわりが過ぎて
君がコケないように 僕は祈るのだ
「君」と「僕」は上手くいかずに離れ離れになってしまうのかな?それでも「僕」は離れていく「君」の幸せを祈り続けます。
惜しかった思い出も 感動的に刻むから
君が遠くなっても 笑っていられそう 強がっていられそう
やっぱりこの辺は「僕」の希望的観測が入っていますね。多分この「僕」は笑えも強がれもしないで結局普通に泣き噦ると思います。
さて、この曲の肝である「子グマ」が何の比喩であるかを考えます。
「小グマ持ちの親グマ」の人はこの曲は家族愛の歌と解釈している人が多い印象があります。「親離れしていく子供」の歌ですね。
ですが、子グマ持ちではない僕はこの解釈を聴いた時に「そういう見方もあったのか」と驚きました。確かに今は親離れの歌とストレートに受け取るのが自然だったなと思ってます。
自分は最初に、「子グマ」は「君との時間を幸せに感じていた、精神的に幼かった頃の自分」なのかなと思っていました。つまり、これも恋人への歌、失恋の歌なのかなと。
「君」と未来を語り合った時間の事であり、「僕の分身」はそのまま「過去の自分」なのかなと捉えました。「幸せだった頃の過去の自分との離別」って感じです。
子グマ!子グマ!荒野の子グマ
おいでおいでするやつ 構わず走れ
子グマ!子グマ!逃げろよ子グマ
暗闇抜けて もう少しだ
過去の自分に対して今の自分が未練たらしく声援を送ってるワケです。「お前はこういう風になるなよ、逃げきれよ」と。
ですがそれも虚しく現実に戻ると、「君」は離れていくし「僕」も強がるしかできないと。
と、今まで悲しい歌風に捉えてきましたが、勿論「これから前を向いていける」という明るい歌にも受けとれるかもしれないですね。
◉アルバムの中で
シンプルで美メロな「みなと」からイキナリ始まるオシャレソングに一気に引き込まれます。
確かテツヤは「三曲目はヒビスクスが良い」と主張して却下されたんでしたっけ?僕はやっぱり「ヒビスクス」はあの位置かなって思いますw
自分はやっぱり最初に聴いた時の様にコメットへと続く「失恋の歌」なのかな?と。多少解釈が無理やりな所もあるとは思いますが。
★好きなフレーズ
「半分こにした 白い熱い中華まん 頬張る顔が好き」